今ここに「ゆ」を

お湯

「ゆ」と一文字あざやかに染め抜かれた暖簾をくぐると、脱衣所がすでに、ポカポカとかすかな温かさに包まれているのが分かる。
服を脱ぎ、タオルを手にガラリと音を立ててガラス製の引き戸を開けて中に入ると、ムワッと体に吹きつける湯けむり。サーッと引いてひんやりした空気が肩をくすぐり、こちらとしては早速ザンブとお湯につかりたいところ。
しかし、浴槽にザンブとしぶきを上げながら入るのはちょっと下品だし、それにまずは軽く「かけ湯」で体も洗いたい。こういう小さなマナーの積み重ねが、楽しい温泉めぐりをするための秘訣なのである。
ところで、温泉につかって日本に生まれたことを喜ぶのがこの文章の目的ではない。ここで取り上げたいのは、この温泉というやつがどのようにして作られたのかということである。
もちろん、温泉がもともと地下に存在する体に良い成分をたっぷり含んだお湯であることは誰もが知っていることだが、それを今、温泉宿で平和にノホホンとつかっていられるのは、温泉開発が行われたからに他ならない。
この「温泉開発」というのが、どのようにして行われたのか、それがここでのテーマなのである。

■調査から始まる開発
「ここでのテーマなのである」と大げさに書いたのは良かったが、調べてみれば案外単純な話であることが分かる。もちろん、実際に温泉開発を行うのに単純なことなどあり得ないだろうが、単に温泉ファンとして語るのなら、話を単純にすることが出来るのである。
すなわち、温泉開発とは、まず地質調査から始まるということである。「地質調査」とは言葉通りの意味で、たぶん小学校の高学年なら簡単に漢字だけでその意味を明らかにしてくれるだろう。
地質を調査することである。地質とは地面とその下にあるものが備えている性質のことであり、その「性質」の中には「温泉を含むかどうか」ということも入っている。
つまり、最初に地質調査によって温泉があるか否かが調べられ、「ある」となったら本格的な開発に踏み切るのである。

■専門業者の登場
ところで、「地質調査」とか「工事」とか「開発」と簡単に言うが、それこそ一朝一夕で成立するものではない。単なる温泉ファンにすぎない私たちが、「地質調査をしまーす」と言ったところで何が出来るだろう?
スコップで土をほじくり返して、見つめるくらいのものである。
地質調査には、それなりの専門的な知識が必要なのである。そして、もちろんその後の工事とか開発とかになると、知識と技術を総動員した専門家たちの仕事になる。
例えば、温泉宿のスタッフにそれだけのことが出来るかといえば、ちょっと疑問である。宿はお客に快適な温泉を提供するのが仕事であり、温泉を開発するのが仕事ではない。
というわけで、専門業者の登場である。この世には、そんなプロたちも存在しているのである。

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